音楽なんもわからんけど、Dannie Mayさんの五行が良かった話を勝手に語らせてくれ
こんばんは!
ものすごく久しぶりにブログ書こうかな、と思い立ちました。
その理由は、Dannie Mayさんが配信されたEP、「五行」がとても良き良きの良きだったからです。
Dannie Mayさんのことを知ったのは、ラジオで流れた「針よ墜とせぬ、暮夜の息」をたまたま聴いた際に、なんておしゃれな曲なんだ! と心を掴まれたのがきっかけです。
1度聴いただけのその曲を、なんとか歌詞を思い出して検索して、YouTubeで出会えた時の感動たるや。
耳にすっと流れ込むギターの入りから、「東京一過の…」と始まる歌い出しがとてもセクシーで、ぽつぽつと一言ずつ紡がれるように歌われるのが、しっとりとした夜に心地良く、サビに入れば目が覚めるようなコーラスの美しさに息をのみ、緩急にドキドキしてさらにMVにドキドキして…と、すべてにおいて非常に大好きな一曲なのですが、一息に語りすぎました。
とにかくこの曲に心を掴まれた私はそれ以降Dannie Mayさんをちょこちょこチェックするようになりました。
そんな中で聴いてみた今回の「五行」、1曲1曲思うところがあったのですが、それをTwitterでダラダラ書くのもなぁと悩んでいたところでこのブログの存在を思い出したわけです。
書かなくてもいいのでは? とも思ったけど、せっかくだから残しておきたい。
ちなみに冒頭で「良き良きの良き」なんていう若者っぽい言葉を使ってはみましたが、私は「配信EP」と言われたときに「EP」とはなんぞや? となるくらい音楽にも流行にも疎い人間なので、難しいことは一切わからないですし、他のバンドさんや昨今の音楽業界の傾向などもさっぱりわからないので、本当にただただこの「五行」の感想だけを、とにかく好き勝手書いていこうと思います。よろしくお願いします。
今回の五行、「自然哲学にある五行思想になぞらえて制作された」とのことだったので、せっかくですから五行思想について軽く調べてみました。
Wikipediaさんによると、五行思想とは「万物は火・水・木・金・土の五種類の元素からなるという説」とのことで。
そしてDannie Mayさんの今回のEPのコンセプトは、この5つのそれぞれの要素が持つ「5つの色」。各曲のタイトルを見たら、だいたい答え合わせができるのでありがたいです。
そしておそらく各要素の持つ性質も考慮されているんじゃないかなと思うのですが…違うかな…。
難しい説明はできないので、上記リンクのWikipediaさんに記載されている性質も参考にしながらとにかく感想を書いていこうと思います。
玄ノ歌
(水/黒色/泉から湧き出て流れる水が元となり、命の水と考える)
これを書いている途中でMVが投稿されておったまげました。
Dannie May「玄ノ歌」(Music Video) - YouTube
せっかくなのでこのMVにも少し触れさせて頂きます。
「玄(=黒)」というだけあって、全体的に色は暗め、歌のとがったイメージも相まって非常にクールでかっこいい印象です。
そしてぐるぐると渦を巻くような映像や、上から流れてくる「水」。水中にいるような雰囲気で、五行の「水」の性質がしっかり出ていてコンセプトへの強い思いがあるのではないかなぁと思ったり。
お三方が実写で(?)出演されているMVはメロディが浮かばなくても以来とのことですが、メロディが浮かばなくてもの三人そろって和気あいあい!な雰囲気とは出演の仕方がずいぶんと違っていますね。今回の、各々にスポットがあたる感じもすごく好きで、なんといってもとにかくカッコいいなーと思います。
お三方の魅せ方だけでなく、ここ何曲かアニメーションとのコラボの印象が多かったMVですが、今回は実写+アニメーション。
いろんな見せ方に挑戦していらっしゃるのを見ると、今後もっともっと面白い、素敵なMVや曲が出来上がるんだろうなぁと思って期待でワクワクです。
ところでお三方がソロで映っている後ろのカーテン?布?の色がもしかして「五行」のイメージに合わせている…のかな、違うかな。
曲終わり、水に沈んだと思ったら一気に赤に変わるのはこの次の曲が「朱ノ歌」だから…? なのかなどうかな。
いろいろ発見があったり考えたりできて、何度も見直したくなるMVです。
さてさて、そろそろ当初の予定である「曲」について触れさせてください。
こんなタイミングで最高MVが投稿されると思ってなかったものでね…だいぶ助走をつけすぎましたね。
先ほどのMVについてyunoさんが「混沌の中生まれ、社会に抗ってゆく様」と表現されていましたが、当然ですが曲全体にもそれを感じるなぁと。
Dannie May、本日6/22リリースの配信EP『五行』から「玄ノ歌」MV公開
私は、Dannie Mayさんの曲に見える「理不尽への怒り」だったり「諦め」だったり、時々「劣等感」だったりにすごく共感します。
そしてそれを知った上で「生きてやる」と足を踏ん張る彼らの曲にすごくパワーと勇気をもらいます。
この曲は非常に、私にパワーをくれるDannie Mayさんが詰まっている気がします。
「1等賞選ばれてみたかった」という歌詞、「適切でいたい」あたりから感じていた、DannieMayさんが叫ぶ切実なこの世界への理不尽に対する怒りや願いを彷彿とさせて、なんだかとても印象に残りました。
私が「水」というイメージを念頭に置きすぎな部分もあるかと思いますが、出だし(Aメロというんでしょうか)あたりは不明瞭というか、鮮明ではない「水の中」のような歌声に聴こえます。混沌から逃げ出したくて水の中に飛び込んだ結果なのかなとか、いろいろ考えたのですが…。
「うらめしや うらめしや」
「くわばらや くわばらや」
このフレーズから始まるタリラさんパートで歌詞がはっきり明瞭になります。
1番(うらめしや…)は、はぐれんぼだった自分が周りへ持っている嫉妬からの怒りがそうなのか、それとも己の内側で語っているから明瞭に聞こえるのかなぁとか。
2番(くわばらや…)は、まるで水の中で沈みながら目を瞑っていたのが、「隠れてちゃ意味ねぇぞ」と気づいてパッと目が開いたようなイメージを持ちました。
何よりサビがかっこいい。ラッキーボーイ、で一気に盛り上がるの絶対ライブでかっこいいだろうなぁ。
「許された者」という選ばれし者がラッキーボーイなのではなく、もしかしてこの世に生まれ落ちたことこそが「ラッキー」で、生を受けた誰もが「ラッキーボーイ」なのかもしれませんね。
大きな流れは変えられなくても、それを乗りこなして生きていく覚悟を決める終わりは、前述したとおり本当に励まされます。かっこええ…。
※オタク気質は深読みが好きなので…あくまですべて個人的意見です。
朱ノ歌
(火/赤/光り輝く炎が元)
さて、ようやく2曲目です。どんどんいきます。
私はDannie Mayさんの曲で「ユウヤケ」という曲がとてもとてもとても好きです。
Dannie May 「ユウヤケ」 (Music Video) - YouTube
曲調、壮大に伸びて広がる歌声、美しい歌詞が本当に好きです。
ということはこの曲も絶対好きなんです。大好きです。
ボーカルの声がよく響く静かで優しいメロディからもう好きです。
そして「湯気がたつほどいらついた今日も」という、怒った話してるのに穏やかな始まり。
でも内心はすごくいろんな気持ちがぐるぐるしてて、下唇を噛んで耐えているかのような描写が目に浮かぶ歌い出しです。
でも下唇を噛んでいたその人も、ただ肩を落とすだけでは意味がないことに気づいているから、顔を上げて前に一歩踏み出しているんじゃないかなと。
この歌全部好きなんですけど、特に好きな歌詞が↓
世間を変えるのは僕じゃねぇ
世界を変える、とか、もっといえば世界平和とか。子どもの頃はスケールの大きさが分からないからとにかく1番でっけぇこと言うんですよね(もちろん大事なことだけど)。
でも大人になって気づくのは、私たちの感じる生きづらさとか苦しさとか怒りとかの原因っていうのは、世界に目を向けるより前にもっと狭いコミュニティにある。でもその狭いコミュニティの「世間」すら、私たち1人の人間には変えられない。
その事実に気づいてしまったからこそ、絶望もするし明日も見えなかったりする。
でも「どうせ答えはないんだから」と歌われるように、正解は無いわけで。
正解と思っているものすら、世間が作り上げたただの枠なわけで。
王様なんかなれん、という言い回しも素敵ですよね。ちょっと方言交じりなところが、すごく身近な存在に思えます。
こういう気づきを得たうえで、「僕らの」国を造ろうという歌詞に繋がることで、誰一人置いていかないよ、という優しさや希望を感じられてとても好きです。
うーん、Dannie Mayさんの曲って優しいんだよなぁ、好きだなぁと、IQ2かなっていう語彙力しかなくなるほど本当に好きです。
この曲の「朱」はどこにかかるかな…とそこをきちんと理解できていないのですが、マサさんがこの曲を「活動を始めた頃に書いた」と仰っているので、もしかしたらもっと内に秘めた情熱とかそういう部分もあるのかな…どこかで言及されていたらどなたか教えてくださると嬉しいです。
木ノ歌
(木/青/樹木の成長・発育する様子を表す)
出だしから木漏れ日や緑(自然)を感じさせるイントロだ…と思いました。
歌声もピアノのメロディも、緑に囲まれた森で優しくこだましているようです。
あまりにも幻想的なので、これまでとは一転、現実世界から少し離れたような気持ちになりますが、しっかりと「曖昧な人類は…」と現実に生きる人々に目を向けていることにハッとさせられます。
そもそも私たち、人類ではあるけど、地球の成り立ちしかりすべて奇跡みたいなもので、非常に曖昧な存在だよなぁと歌詞を見ながら思いました。
「人類」という枠組みも私たちが勝手に定義したもので、壮大な自然を前にしたら本当にちっぽけな存在だなと。その存在がたまたま持っていた感情に左右され、振り回し、人を傷つけたり傷つけなかったり。
不思議な世界に生きているなぁと考えさせられました。
そしてそんな日々に生きている中でも、些細なことに幸せを感じて、でも幸せを定義することも難しくて。
私たちの存在も、感情も、毎日も、非常に曖昧なものだけど、たとえば陽ざしの暖かさとか、草花の匂いとか。そういったたしかに感じられる何かがこの世には満ちていて、美しいものがこの世にはたくさんあって。
とっっっても難しいんですが、「曖昧」と繰り返される中で自分の存在のちっぽけさや不確かさを感じて、それでも最後に「この世は輝いている」と歌ってくれたことで、私はできればそういった美しいものに目を向けていきたいと思いました。
うーん、うまくいえない自分に歯がゆい気持ちです笑。
白ノ歌
(金/白/金属のように冷徹・堅固・確実な性質)
金属のイメージからか、少しカチャッというような硬い音が聴こえますね。
非常にかわいい曲でお気に入りです。とぅるとぅっとぅっとぅーる♪
歳を重ねるごとに「こうすべき」「こうあるべき」という考え方が生まれがちで、「頭固いなー」みたいなことが起きがちです。
でも今までの考えを変えて行動するって、本当に難しい。
それを変えるのはきっと一人では無理で、誰かを想う気持ちだったり、そうやって自分以外の誰かに目を向けられるような、少しの心のゆとりが必要なのかもしれません。
身近に起きてるような出来事を書かれた歌詞、情景が目に浮かぶようでとても好きです。
黄ノ歌
(土/黄/植物の目が地中から発芽する様子が元)
植物の目が地中から発芽する様子、というのをWikipediaで見た時、MVのシーンとぴったり当てはまって感動しました。
この歌も私が背中を押されるタイプの曲です。
というより、「なんともならんがなんとか生きるしかねぇわ!」という気持ちにしてくれます。
アップテンポで歌い方もわりと勇ましさがあるんですが、歌詞はもがく私たちに寄り添ってくれていると思います。優しいんよ、だにーめいさん…。
この曲は3月に既にリリースがされているので、ざっくりと好きポイントを挙げていきたいと思います。
「地獄戦線のど真ん中 生きるしかないよな」
仰る通りで、地獄戦線ど真ん中なんです。
どこかの誰かは私より辛い思いをしているかもしれない、とかじゃなくてもう、ごめんなさいですが私の世界が今地獄なんですという。「ど真ん中」という表現を用いてくれたことが好きだなポイントです。
「手持ちのカードは意外とあるさ 上手に使いな」
最強背中押しフレーズだと思います。
私には何もない、なんて常に思ってたりするんですが、このフレーズを聴くととても冷静に自分を見つめることができます。
自分にも何かしらの、得意だったり好きだったりがあるんだと客観的に考えられて、それは自分の自信に繋がります。「上手に使いな」の言い聞かせるような歌い方も素敵ですよね。
たったワンフレーズ、と思われるかもしれませんが、このフレーズを聴くたびにハッとさせられます。
「石コロだらけの一本道で たまに泣きたくなるよな」
どうしてこんなに寄り添ってくれるんだろう、と思う歌詞です。
もういい大人なのに、人生全然うまくいかなくて、泣きてぇ…という夜は度々訪れます。
この後に続く「寝付けぬ夜空を超えられたんなら…」の流れももちろん好きで、泣いて泣いて泣いたら、また頑張ろうという勇気をくれます。
苦しんで苦しんで、それでも立ち上がれ、大丈夫だ、と言ってくれるような力強く優しい歌です。まさに地中から発芽する植物のようだなぁと思いました。
さてさて。長々と書き綴ってしまいましたが、本当にどれも素敵な曲ばかりで、本当に素敵な音楽に巡り合えたなぁと思います。
ところで私はDannie Mayさんの曲をちょこちょこ追いかけながらも、お三方についてはあまり詳しくなく…ブログを書くにあたってプロフィールを覗いてみましたら、マサさんが私と同じ年の生まれで、つまりお三方とも同世代でびっくりしました。
彼らの、理不尽に対する怒りや諦めや、それでも立ち上がる音楽が好きだと書きましたが、なるほど同い年となれば共感できる部分も多いわけです。
それから、彼らの曲には暴力的な言葉は出てこない印象です。理不尽にも、怒りにも、どろっとした感情を直接的ではない歌詞として言葉にできる表現力に感服します。
同世代だから…というと一気にチープになってしまいますが、こんなに勇気をくれる同年代がいる以上、私もがんばって生きるしかないなぁという気持ちですし、彼らの作る曲をこれからも楽しみにしたいなぁと思います。
長々とお読みいただきありがとうございました。